人生はソナタ形式~こころざしが奏でる旋律(メロディ)と和音(ハーモニー)~ 2024

「人生はソナタ形式~こころざしが奏でる旋律(メロディ)と和音(ハーモニー)~」
作曲・演奏:岩代太郎
「オトブミ集~絆」朗読:高橋克実
2024年7月28日
有楽町朝日ホール(東京)

(Click here for the original English text)

PART 1: はじめに

高い評価を受けている日本の作曲家・岩代太郎さんがコンサートホールに戻ってきました。この日開催されたのは、作曲家として、そして一個人として、世の中に変化をもたらそうと尽力している岩代さんが自身のライフワークについて語る、トークと音楽のスペシャルイベントです。

PART 2: 運命的な出会い

このイベントをレポートするにあたり、まず、私が15年以上前にどのように岩代太郎さんの音楽と出会い、熱烈なファンの一人になったのかを簡単に説明しておく必要があるでしょう。

海外の岩代さんファンの場合、ジョン・ウー監督の歴史スペクタクル映画『レッドクリフ』に提供された圧巻の楽曲で彼を知った人がほとんどかもしれません。

しかし私は、日本の主要都市のどこにでもあるCD・DVDショップ新星堂のワゴンセールで、まったく偶然に岩代さんと出会ったのです。

20代半ばだった私は、ほぼ毎日のように街のCDショップや中古CDショップを巡り、サウンドトラックをあさっていました。

ある日、新星堂に入ると、店内のあちこちにセール品の入ったワゴンが置かれているのを目にし、胸が躍りました(当時英語教師だった私の給料はかなり安かったからです!)。ワゴンの中のCDはすべて新品で、500円という値札が付けられており、これはかなりの収穫があるに違いないと確信しました。

私はすぐに、アレクサンドル・デスプラの『HOSTAGE』(『ホステージ』サウンドトラック)、アーロン・ジグマンの『THE NOTEBOOK』(『きみに読む物語』サウンドトラック)、ズビグニエフ・プレイスネルの『THREE COLORS: WHITE』(『トリコロール/白の愛』サウンドトラック)などの掘り出し物をワゴンの中から見つけました。

ワゴンごとにCDを見ていく中で、岩代さんの『Planet of Ocean』(『海・知られざる世界』サウンドトラック)の海のジャケット写真に目が留まりました。

「岩代太郎」は初めて目にする名前でしたが、少なくとも音楽は面白そうだと思いました。海がテーマの曲は壮大なシンフォニーであることが多く、それが私の好みだったからです。ましてや500円ですから、買うしかありません。

さらに探していると、あるジャケットがまた目につきました。NHKの大河ドラマ『葵~徳川三代~』のサウンドトラックです。そこにも岩代さんの名前が記されていました。

ジャケットはいかめしいよろいかぶとの写真だったので、これはいい音楽かもしれないと思いました。時代劇には、打楽器をふんだんに使った迫力のある曲が使われることが多いためです。これも私の好みに合っている気がしたので、どんどん積み上がっていく「買い」の山に加えました。

その日に新星堂で購入したサウンドトラックCDは、15枚から20枚ほどになりました。悪くない収穫です!

家に着くと、まず『Planet of Ocean』を聴き始めました。そして、びっくりしてしまいました。「これは何だ?」と。オーケストラとピアノソロのために作られた音楽で、スケールがとてつもなく大きいのです。海にまつわる多くの神秘と永遠のロマンスを感じさせ、まるで深海にいるかのような感覚になる音楽でした。1曲目でピアノが入ってきた途端に背筋がぞくぞくし、曲の終わりまでそれが収まりませんでした。

たった今聴いたものに衝撃を受けた私は、続けてもう1枚の岩代さんのCDも聴き、やはりその素晴らしい音楽に心を奪われました。『葵~徳川三代~』のサウンドトラックの1曲目に入っている「Time Of Destiny」は、情熱と古典的なロマンチシズムに満ちあふれていました。テレビの時代劇のサウンドトラックにこんな曲が入っているとは、予想もしていませんでした。

これがテレビドラマのために作られた曲だなんて、まったく理解できませんでした。テレビドラマ用にしては秀逸すぎたからです。ハリウッドの最新大作映画の楽曲でもおかしくないほどでした。

その時私は、「この人はなぜハリウッドの大ヒット映画の音楽を手掛けていないのだろう?」と思い、訳が分かりませんでした。その気持ちは今も変わっていません。

とにかく、私はこのようにして岩代さんの音楽と出会い、あっという間に夢中になったのでした。それ以来、リリースされた彼のCDはほとんどすべて買い集めてきました。それなのに、これまでコンサートで彼の生演奏を聴ける機会がなかったのです。

PART 3: スペシャルイベント

新星堂のワゴンセールでの運命的な出会いから15年がたちました。私は今では、岩代太郎さんの素晴らしさと彼の優れた音楽を、見て、聴いて、体験してきたと言い切れます。

今年7月、岩代さんは東京都心の有楽町朝日ホールで、「人生はソナタ形式~こころざしが奏でる旋律(メロディ)と和音(ハーモニー)~」と題した、2時間にわたるトークと音楽のスペシャルイベントを開催しました。

岩代さんが、自身の半生と音楽や、人生の目的を見いだす上での思いについて語る、2部構成のイベントでした。

当日は、岩代さんが手掛けた映画やテレビの音楽について、真面目ながら楽しいエピソードの数々が語られ、オリジナルサウンドトラックの楽曲のショートクリップが流れました。さらに、岩代さんがいくつかの曲をピアノで生演奏し、心温まるメロディーと繊細な演奏で聴衆の心を捉えました。

最後に、「オトブミ集~絆」プロジェクトから2つの詩が紹介されました。俳優の高橋克実さんが詩を朗読し、それに合わせて岩代さんがピアノを演奏しました。

PART 4: 表現についての注釈と多大なる感謝

このトークと音楽のイベントの詳細に触れる前に、お伝えしておかなければならないことがあります。私は、長年日本に住んでいますが、日本語の理解力はそれほど高くありません。話される内容が、音楽の目指すところや、人生の目的や価値をどのように見いだすかといった、非常に個人的かつ抽象的なトピックに及ぶ場合はなおさらです。

それでも私は、岩代さんが語る言葉を、通訳者や翻訳アプリの助けなしに理解しようと最大限に努めました。

このレポートでは、私がはっきりと理解できた部分を取り上げ、確信が持てなかった部分は省きます。

また、この場をお借りして、岩代さんの親しいご友人であるワタナベ・ヒデトさんに深く感謝の意を表します。ワタナベさんは、イベントで語られた多くのことを私が明確にして確認できるよう、力を貸してくださいました。私は主な内容をほとんど理解していたつもりでいましたが、すっかり誤解していた部分もありました!

ワタナベさんの惜しみないサポートがなければ、このレポートの正確さや深みは大きく損なわれていたことでしょう。ワタナベさん、本当にありがとうございます。ビールを1杯(か2杯😉)必ずおごります。

PART 5: 開会

司会者による快活な開会の言葉と経緯の説明の後、岩代さんがさっそうとステージに登場すると、聴衆からの温かい拍手が続きました。

岩代さんは、穏やかな振る舞いとさりげないユーモアで、すぐに会場を盛り上げました。

そして、「人生はソナタ形式」と題したイベントのコンセプトを説明し、それに沿って自身の半生を順序立てて語り始めました。それは、これから始まるトークと音楽のイベントの道しるべとなるような内容でした。

岩代さんは、テレビや映画に寄せた楽曲について語り始める前に、大きなスクリーンにある数字を示し、それを最後まで覚えておいてほしいと言いました。映し出されていたのは、次の2つの数字です。

1101

0824

これらの数字が何を意味しているのかまったく分からず、興味をかき立てられました!

そうして第1部が始まりました。

PART 6: 第1部

幼少期

まず、岩代さんの幼い頃の愛らしい写真がスクリーンに映し出されました。10歳の時にベートーベンのピアノソナタ『月光』に心を奪われ、弾けるようになりたいと思い、それを父親に言うと、バイエルのピアノ教則本を手渡されたそうです。

そう話すと、岩代さんはステージ上のピアノの前に座り、『月光』の最初の数小節を弾き始めました。

そして、15歳の時に作曲家になろうと決心したことを語りました。

大学時代

大学で作曲を学んでいた頃は、音楽と関係ないアルバイトをしていたそうです。作曲家としてのキャリアを目指すなら、いろいろな仕事を経験するのはこれが最後のチャンスだろうと思っていたためでした。ファミレスの店員を皮切りに、上野のアメ横の売り子見習い(たった1週間でクビになってしまったとか)、渋谷のラブホテルの清掃員、深夜勤務の警備員などのさまざまなアルバイトは、忘れられない人生経験になったといいます。

大きな仕事の種まき

大学3年生の時には、日本で権威のあるNHKの大河ドラマと朝の連続テレビ小説のために作曲する機会を与えられたらどのような音楽がいいかを想像し、作曲していたそうです。それは、岩代さんが作曲した初めてのオーケストラ曲となりました。

まさかと思うかもしれませんが、先ほど取り上げたNHKの大河ドラマ『葵~徳川三代~』の楽曲の一つは、その時に作った曲がベースになっているのです。岩代さんがまだ大学生だった時にまいた種が、あの素晴らしい曲として結実したのは、実に驚くべきことです。そして、彼が若かりし頃から才能にあふれていたことがよく分かります。

ある美容師の人生を描いた、NHKの朝の連続テレビ小説『あぐり』。バイオリンが奏でるその美しいメインテーマも、岩代さんが大学時代に作った曲が基になっています。

軽快でありながらノスタルジックで躍動感あふれるこの曲は、彼の代表作の一つと言えるでしょう。

『WITH LOVE』

岩代さんは、メールが結ぶラブロマンスを描いたフジテレビのドラマ『WITH LOVE』で、自身が手掛けたサウンドトラックの売上枚数が25万枚以上に達したことを振り返っていました。この数は、東京ドームの収容人数の5倍に匹敵します!

それから岩代さんは、ピアノの前に座り、目を閉じて、『WITH LOVE』の印象的ですぐに覚えてしまう愛のテーマ「Link to Fate」を弾き始めました。作曲したご本人がピアノで生演奏する場に立ち会えたことは、本当に貴重な、素晴らしい体験でした。今思い出すだけでも鳥肌が立ちます。

1999年:成功を収めた年

『WITH LOVE』でのヒットを記録した1999年は、岩代さんが大きな成功を収めた年となりました。NHKの大河ドラマ(『葵~徳川三代~』)とフジテレビの月9ドラマ(『氷の世界』)に同時に楽曲提供をした作曲家は岩代さんが初めてでした。大きな実績を挙げ、とても誇らしく、頂点に立ったように感じたといいます。

「My Own Life」(ドラマ『白線流し』挿入曲)

もう一つ岩代さんがピアノで最後まで弾いたのが、この美しい曲です。ほろ苦く、ノスタルジックで、とてもロマンチックなこの曲の演奏を聴けて、心からうれしく思いました。

途中で弾くのをわざと止めながら、まだ終わらないんですと言う自虐的な冗談で、岩代さんと彼の音楽がますます好きになりました。

ハリウッドと『レッドクリフ』

私が非常に驚き、残念に思ったのは、2000年代初期に岩代さんがハリウッド進出にかなり苦戦したと話していたことです。それは単に、ハリウッドが彼をテレビ音楽の作曲家と見なしていたためでした。彼らが『葵~徳川三代~』や『あぐり』の音楽を聴いていてくれたら!

ところがある日、状況が一変しました。岩代さんのエージェント(フランス文化省に所属し日本人妻が映画業界で働いていたフランス人)から連絡があり、ジョン・ウー監督の歴史スペクタクル映画『レッドクリフ』に楽曲を提供する機会を得たのです。

ある日『レッドクリフ』のセットを訪れた監督は、岩代さんに、セットで立ち働いている多様なスタッフたちを見るように言いました。そこには中国人、モンゴル人、米国人、日本人など、過去50年ほどにわたり互いに戦ってきた国々の人たちがいました。監督は、『レッドクリフ』は戦争映画でもあるが、人々が一つになれるのを示すことが真のテーマであり、狙いであると語ったそうです。過去に戦争があったとしても、人々は出会い、一緒に働いたり何かを生み出したりすることができ、それこそが人の素晴らしさなのだと。

「魂の歌/Spiritual Songs」(東日本大震災復興支援・音楽プロジェクト)

2011年3月11日に起きた東日本大震災は、日本の多くの人々に深い悲しみとつらい日々をもたらしました。それは今でも続いています。

岩代さんと彼の友人である7人の作曲家は、震災の被災者を支援するために何かしたいと考えました。それが、魂(あの日に亡くなった方の魂、生き残り再び立ち上がろうとしている人々の魂、震災後に生まれた子どもたちの新しい魂)の大切さに焦点を当てたオリジナル楽曲のCD制作につながりました。俳優の役所広司さんによる短い朗読を加えたこのCDの売り上げは、震災で大きな被害を受けた石巻市に全額寄付されました。

岩代さんによると、彼が作曲した「魂の響き、それはFと共に/Brightness of Soul, together with F」の「F」は、「Family(家族)」、「Friends(友人)」、「Forever(永遠)」などを表す、とても重要な文字なのだそうです。

その他の音楽

さらに岩代さんは、以下のサウンドトラックやそれ以外のアルバムについてのエピソードを語り、オリジナルのミュージッククリップを紹介しました。

『沙粧妙子—最後の事件—』(日本の刑事ドラマ)

『殺人の追憶』(韓国の著名な映画監督であるポン・ジュノ監督作品)

『血と骨』(ビートたけし出演作品)

『On The Sixth Line』(ソロピアノアルバム)より「Miss Encore」

『IT’S』(岩代さんのファーストアルバム)

PART 7: 第2部

第2部の目的は、岩代さんが主宰する特定非営利活動法人の「オトブミ集~絆」プロジェクトについて説明し、紹介することでした。また岩代さんは、自身の半生をソナタ形式で考えた場合の今後についても語ってくれました。

「オトブミ集~絆」

岩代さんがライフワークと位置付ける「Otobumi-shu – Kizuna (オトブミ集~絆)」は、岩代さんのオリジナル音楽をBGMに、命の大切さや人生の素晴らしさをつづったメッセージを俳優らが朗読するプロジェクトです。

収録された詩はすべて「オトブミ集~絆」のウェブサイト(https://otobumi.jp/)で無料で聴くことができ、2024年版は11月にリリースされる予定です。

今回のイベントでは、そのうち2つの詩が披露され、皆さんご存じの俳優であり、岩代さんの友人でもある高橋克実さんが、心のこもった誠実さあふれる朗読を行いました。

1つ目の「自分の命、みんなの命」は、国境なき医師団の看護師である白川優子さんの作詩によるもので、悲しみと希望を表現すると同時に、命の尊さを改めて伝えています。

女優の斉藤由貴さんが朗読しているオリジナル版は、こちらで聴くことができます。

2つ目の「いのち」は、漫画家のちばてつやさんが作詩したもので、こちらも戦争の恐ろしさと命の尊さを深く感じさせるメッセージでした。この詩は、「オトブミ集~絆」の2024年版に収録されており、リリース後に公式サイトで公開される予定です。

「オトブミ集~絆」の後のおしゃべり

「オトブミ集~絆」の2つの詩に感情を揺さぶられた私たちには、気持ちを切り替えられる楽しい雰囲気が必要でした。

岩代さんと、朗読をされた高橋さんが、ステージ上の椅子に座って気楽なおしゃべりを始めると、たちまちコントのようなやりとりが繰り広げられました。

岩代さんは途中から、居酒屋や食堂で出されるおしぼりのようなハンドタオルで顔を拭き始めました。それを見た高橋さんが、飲み屋じゃないんだからとツッコミを入れると、みんなが大笑いしました。残りの時間を楽しむために、このユーモアに満ちたステージ上のおしゃべりを必要としていたのは、私だけではなかったのです。

未来

高橋さんがステージを去ると、岩代さんはマイクを手に取り、未来について語り始めました。今度はかなり真面目で哲学的な内容だったため、私は岩代さんの話についていくのが次第に難しくなりました。

それでも、最終盤でなんとか理解できたことがあります。それは岩代さんが、自分自身の葬儀のためにレクイエムを作曲するのを名誉だと考えていることです。

PART 8: 閉会

イベントの締めくくりに、岩代さんは、最初に見せた数字を再びスクリーンに映し出しました。

1101

0824

岩代さんは聴衆に対し、数字の意味が分かった人はいるかと尋ねました。誰も手を挙げなかったので、彼はその意味を説明してくれました。これらの数字は単に、彼の音楽スケジュールにおける重要な日付だったのです。

「1101」は11月1日を表し、次の「オトブミ集~絆」がリリースされる日です。「0824」については、私がここで明かすわけにはいきません。その時が来たら岩代さんが教えてくれるでしょう😊

イベントの冒頭にこれらの数字を示して考えさせるのはミステリアスで、私たちにその日付を覚えさせる斬新かつ非常に効果的な手法だったと思います!

CFA

次に岩代さんは、アルファベットのAからGまでが書かれたスライドを見せました。そして、ランダムに当てた何人かの聴衆に、それらの文字の中から1つを選ぶように頼みました。何のためか不思議に思いましたが、すぐに分かりました。聴衆が選んだアルファベット(つまりは音階)を、選ばれた順番で使い、その場で作曲しようとしていたのです。それらのアルファベットが音階を表しているとは誰も思わなかったことでしょう!

岩代さんがピアノでまったく新しいメロディーを作り上げて演奏し始めるまで、数秒しかかからなかったような気がします! その美しいメロディーと繊細な演奏は、彼の無限の才能を物語っていました。実に素晴らしい体験でした。

最後に演奏されたこの曲は、イベントの締めくくりにふさわしいものでした。

集合写真

聴衆からの長い拍手の後、岩代さんと高橋さんはみんなで写真を撮ろうと呼びかけました。岩代さんは、写真に入りたくない人はカメラを避けてうずくまってくださいと冗談を言いました。

私もこの写真の中にいます! 最前列の左側で、白いタオル(岩代さんが顔を拭いたタオルではありません!)を首に巻いた男性の隣に座っているのが私です。

PART 9: 最後に

完璧には程遠い私の日本語力では、人生と音楽についての岩代さんのメッセージを完全に理解するのは容易なことではありませんでした。それでも私は、その午後を存分に楽しみ、心を動かされ、気の置けない長年の友人と過ごしているかのような気持ちになりました。

岩代さんは、才能豊かな作曲家であるだけでなく、巧みな語り手でもあります。彼の語るエピソードは、面白おかしく、洞察に満ちており、何より率直でした。イベントが終わった時、私は岩代さんと彼の音楽を以前にも増して好きになっていました。

岩代さんが、坂本龍一さん(ご冥福をお祈りします)や久石譲さんのような作曲家と同等の、世界的な称賛や名声を得ていないのは実に残念です。

その機会に恵まれなかったと言えるかもしれません。ポン・ジュノやジョン・ウーなどの高く評価されている著名な映画監督と仕事をしているにもかかわらず、スティーブン・スピルバーグ、宮崎駿、クリストファー・ノーランといった大衆に人気の映画監督と制作を共にする機会がただ訪れなかっただけなのです。もし彼がキャリアの初期にそうした監督たちと仕事をしていたら、状況はまったく違っていたでしょう。

岩代さんが思い描いたとおりの人生を歩んできたのかどうかは定かではありません。しかし、多くの困難や成功、教訓を経験してきたからこそ、彼は現在のような優れた作曲家となり、素晴らしい人物になり得たのでしょう。

岩代さんが、生きる意味を模索し続けながら、今後も作曲と示唆に富む音楽を通じて、より良い世界の実現を後押しされていくことを切に願っています。


(当レビュー記事は、ビジネス翻訳・通訳のプロフェッショナル、(株)ダイナワードによる翻訳です。)

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